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考察
今回の採集調査で、N.aperta集団の主体となるものがDon Nangloyではalpha-race、その他の4地域ではgamma-raceであった。この結果は前回の調査と一致しており、1年に満たないような速い集団構成の交代はなかったと推測できる。
貝への感染実験はいずれも良い結果が得られなかった。原因としては十分な数のミラシジウムが得られず、少数の貝にしか感染させられなかったこと、N.apertaの飼育条件が確立していないため少数の感染貝を長期間維持できなかったことがあげられる。感染貝の数が豊富であれば、一部の貝をつぶして直接感染状況を調べることもできるであろう。現在水田の土および川から採取した岩石を投入した底面濾過式水槽で人工飼料を与え、比較的安定した飼育結果が得られている。さらに、繁殖が可能になるよう検討を重ねる必要がある。

 

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図1. コーン島以北のメコン川上流におけるメコン住血吸虫中間宿主貝の採集調査地点

 

 

 

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